A pair of vintage boots next to a hat and a decorative banner with 'Explore' on a wooden floor.

カウンセリングへの不安やハードルについて

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カウンセリングはハードルが高い?

かつてわたしがスクールカウンセラーをしていたとき、研修かなにかで「スクールカウンセラーは、多くのひとにとって、一生でただひとり会うカウンセラーなんです」と言われました。なるほど、ひとの数だけ悩みや苦しみ、個性はあるけれど、それをカウンセラーによるカウンセリングで話していく、相談していく、というのはよくあること、ではないのかもしれません。

カウンセラー、心理職の人数や知名度の問題は大きいと思いますが、ここでは、カウンセリングへの関心やニーズがありながらも、現実的に受けるには至っていないかたがたの心理を考えてみたいと思います。

 ひとに自分の弱みをみせたくない

 頼るって、なに?頼りかたがわからない

 自分のつらい部分や、できないと思って困っている、苦しんでいる部分を他人にみせると困らせるかもしれない

 拒否されたら?思わぬことを言われたら?きびしいことばが返ってきたら、すごく傷ついて立ちなおれないと思う

 お金や時間を割けないよ、目に見える効果があるかもわからないものに

・・ざっと考えただけでも、「受けない理由」「受けられない理由」がいくつも思いうかびます。もちろん、受ける必要性のない状態のかたも大勢います。一方で、内心とてもつらい思いをしていながらも、自分だけでかかえてらっしゃるかたも大勢いると思われます。

わたしたちは、みんな、いっぱいいっぱい、がんばっていて。

現実的にカウンセリングを受けるとなると、この未知なるものは、必死な自分をなんらかのかたちでおびやかすのではないか、と防御したくもなるものでしょう。たとえそれが健康なものとはいえなかったとしても、苦心してつくりあげてきたこころのバランスが揺るがされることになるのは、すごい不安をよびおこすことだと思うのです。

カウンセリングという”るつぼ”

実は、カウンセリングといっても、学派や方法はさまざまです。認知行動療法、クライエント中心療法、精神分析あたりが大学ではひとまずの基本のように言われていますが、マインドフルネス、EMDR、ゲシュタルトセラピーなど、本当に多様です。日本で一番多いのは、各学派のエッセンスを少しずつ取りいれた折衷派かと思われます。つまり、そのかたに合ったカウンセリングのアプローチがありますし、どのアプローチも、みなさまにとってもっと身近なものになれば、あまりかまえずに選択肢に入れやすくなるのではないでしょうか。

当オフィスでは、「カウンセリング」として、そのかたが困ってらっしゃる現実的な問題について、セラピストともに、こういうやりかたがあるかもしれない、と考えてみたり、別の意味づけかたをしてみたり、といったサポート主体のアプローチをおこなっています。基本的に、ことばや実際のできごとを使ったやりとりであり、一般にイメージされる「カウンセリング」に近いかもしれません

一方、それだけではどうしてもうまくいかないかたもいらっしゃいます。たとえば「わかってはいるけどできない」「助言は求めているけど、それは同時に、干渉されるような不快なことでもある」などと相反する感情や行動にさいなまれている、セラピストをそのかたの問題を「解決してくれるひと」にしてしまって、ご自分で考えを導きだす力を弱めてしまっている、など。そうした状況の背後にある深層の問題を考えていくのに、当オフィスのメニューのひとつである「精神分析的心理療法」が効果的なことがあります。

そのあたり、そのかたにとってどういうアプローチですすめていくのが良さそうか、当オフィスでは、数回のアセスメント(予備面接)をおこなってご提案するかたちをとっています。そののちに面接の契約・開始となります。そのかたの適性や緊急性・必要性をきちんと見たてて、医療機関やほかの相談機関へのご紹介とさせていただく場合もあります。

なお、どこで、どのようなやりかたでカウンセリングを受けるとしても、セラピストとの信頼関係やその場での安心感が、ご自分の問題にとりくんでいくに際してのだいじな支えになるのはいうまでもありません。ここでいう信頼関係とは、たとえばセラピストにむかって、「あなたとは合わない感じがする」と本音を話せる関係も含む、なかなか奥深いものです。

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